安全配慮義務

安全配慮義務とは、会社が労働契約法第5条に基づき、従業員が身体的・精神的な健康と安全を保ちながら働けるよう、職場環境を整える法的責任のことです。初耳の方は、解説している動画が多数あって、初心者にもわかりやすいので検索してみてください。ここでは私が経験した事例の一つをご紹介します。

◆経緯
販売業の正社員が体調不良で1か月まともに出勤できない状態が続いていた。会社は診断書の提出を依頼し、産業医面談を予約したが体調不良のため実施できていない。Yさんが出勤した日に店長が面談をした。

◆Yさんのヒアリング内容
・検査の結果、寛解と再発を繰り返す病気であることが判明した
・調子が良いときと悪いときがあって、悪いときは欠勤が多くなる
・体調が良いときは働いて貢献したい
・店長やスタッフに迷惑をかけて申し訳ない

◆店長が行ったYさんへの対応
・Yさんが働きたいという意欲を尊重する
・体調にあわせて、出勤日数、勤務時間を変更するので遠慮なく言ってほしい
・店頭に椅子を置いて、休めるようにする

◆その後起こったこと
・週に2日程度出勤するが、仕事にならない日々が更に2週間続く
・勤務中に店頭で倒れ、救急車で病院へ搬送される

◆ご家族からの連絡
・病状が悪化し、3か月の入院と絶対安静が必要
・1か月前に「就労不可」と診断されていた
・完全に休むことを会社に言いづらかったようだ
・電車通勤がつらく、タクシーで通勤していた
・無理をして働いたことが原因で病状が悪化しているので、労災ではないか
 (その後、Yさんから労災の話は忘れてほしいと申し出あり)
・症状が落ち着いたら実家に近い病院へ転院する

◆会社が行ったこと
・Yさんの代理であるご家族へお詫びをした
(働けない状態であったYさんを、結果として勤務させたことについて、病状悪化、新たな事故の危険があるにもかかわらず、対応が不適切であった)
・ご家族の意向に沿って退職と傷病手当金の手続きを進めた
・安全配慮義務について、今回の事例と共に管理監督者向けの勉強会を実施した

*** まとめ ***
従業員の就労可否を会社が判断する際、ときには従業員の意に反する判断をすることがあります。そのため、客観的事実や判断のフローを決めておくこと、適切な運用のために管理監督者が正しい知識を身に着けておくことが求められます。

就労可否の判断フロー構築のお手伝いはもちろんですが、顧問先の管理監督者向けに、安全配慮義務の勉強会をさせていただいております。事例を交えて、参加者の気持ちもくみ取った、現場目線の内容にしておりますので、お気軽にご相談ください。