中小企業の災害対策

シルバーウィーク中、顧問先のU社長から、職場の防災についてのご相談をいただきましたので、内容をご紹介します。社員20名ほどのデザイン会社で、雑居ビルの1階にオフィスがあります。在宅勤務をしたり、現場へ出向いたりと、日によって事務所への出社人数はまちまちです。

【ご相談内容】

「会社の周辺に避難指示が出たので、誰も出社しないようにグループLINEで発信しました。すると自宅周辺にも避難指示が出ているという社員、その社員を心配している社員など、安否確認のつもりが永遠にやりとりが続いてしまって大変でしたが、グループLINEが使えて良かったです。ふと、東日本大震災のときを思い出して、大災害が起きたら自分や家族の身を守るので精一杯で、社員との連絡も取れなくなるだろうし、冷たいようだけど、各自の自己責任で避難所を頼るとか判断してもらうしかないのか。万が一、職場で社員の身に何かあったら、経営者としての責任を問われるのか心配になってきて、、、。」

実にリアルな本音だと思います。経営者ご自身も1人の人間であり、ご家族がいます。「そもそも自分が出社していないことが多い」「会社が社員の命を守り切れない」「避難所を頼るのが安全ではないか」と感じるのも、無理はありません。

経営者様にご認識いただきたい重要なポイントを3つに絞ってお伝えしました。

1.「安全配慮義務」という法的責任

経営者には、社員の安全に配慮しなければならない「安全配慮義務」が法律で定められています。 「何の備えもせず、安否確認のルールもなく、水やトイレもないからと危険な屋外に社員がさまようことになった結果、二次災害や事故に巻き込まれた場合、会社は損害賠償責任(民事上の責任)を問われる可能性が高くなります。

2.緊急連絡網の整備は必須

通常の連絡手段が使えないことは想定範囲として、「緊急時の連絡体制とルール」ををあらかじめ決めておくことが、企業に求められている備えです。 高価な安否確認システムがなくても、普段使っているLINEやチャットツールで「身の安全を確保したら〇〇に無事を書き込む」と決めておくだけで、最低限の安否確認ができます。連絡網がないと、情報が錯綜し、無駄なやりとりが増えて、スマートフォンはすぐに充電切れになってしまいます。

3.現在は「会社にとどまる」が正解

大地震の直後、自治体の指定避難所はすぐに満員になります。また、津波や火災などの直接的な危険がない限り、東京都などの自治体は「むやみに移動せず、職場にとどまること(一斉帰宅抑制)」の方針に則り、具体的に、1人あたり3日分の「簡易トイレ・水・非常食」をオフィスに置いておくことを強く求めています。

以上の3つをおさえておくだけでも、経営者としての安全配慮義務を果たすことにつながります。更に、少人数の会社であれば、上記の防災対策について、社員が主体となって準備を進めることをおススメします。いざというときに、お互いが協力しあって、落ち着いて行動できるようになります。

「うちも何一つ備えていない……」ハッとされた社長様がいらっしゃれば、気づいて良かった!ぜひ今日から小さな一歩を検討してみてくださいね。